犬は笑う。
犬の祖先であるオオカミは笑わない。
ある説では、犬が人間の笑顔を真似ているのだ、と述べられている。
犬は人間と長く付き合っていく間にその表情の意味に気付いたのだという。
両口角を上げ、軽く歯を見せるその持つ意味に。
ただ、「人間の喜んでいる表情を真似ている犬」が本当に「喜んでいる」のかどうか
観測者が判定することは非常に難しい。
「喜んでいる表情」をしている犬は、本当は怒っているのかもしれない。
人間の待遇が良くなるという経験則から、特に意味もなく愛想笑いをしているのかもしれない。
犬が笑っているように見えるのは、
僕らの心が彼をそう写しているからかもしれない。
ハムスターのような小動物であっても
自分の可愛がっている動物であれば
一生懸命、エサを食べているしぐさを見るだけでも
なんとなく笑っているように感じるのかもしれない。
僕らのノンバーバル・コミュニケーションは
無意識下において瞬時に相手の発する非言語情報を読み取るという
とんでもなく高度な情報処理によって実施される。
その一方で、個々の送受信機の相互キャリブレーションや
インターオペラビリティは全くの未保証である上、
通信プロトコルには一切の誤り検出機能を持たず、
その機能保全も(種の進化を含めた)経験によってのみ担保されるという、
TVのリモコン以下の相互互換性となっている。
君が僕に「君の気持ち」を伝えようとするとき、
「君の気持ち」は、君という送信機のフィルターを通過して
言語情報、表情、声の大きさ、視線、身振り手振りなどによって
符号化送信され、
干渉、回折、外乱等の影響を受けた上、
僕という受信機の受信性能下において受信される。
「君の気持ち」がそのまま僕に伝わることはない。
僕が思う「君の気持ち」は僕が想像するものでしかない。
だから
君は僕に抱かれるべきではないだろうかお互い生まれたままの姿になってもっと深い大人のコミュニケーションをしましょうそうしましょう
という話を女子にしたら、
普通に怒られた。
願わくば、笑っている君の世界が
明るいものでありますように。